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天然塩でも危険? 気になる塩と高血圧との関係に迫る

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独立行政法人・国立健康・栄養研究所の健康・栄養フォーラムで、気になるやりとりがありました。

そのやりとりとは、栄養士さんと健康食品情報研究室のスタッフさんとの間で交わされた「塩」と「高血圧」との関係による内容です。

まずは、そのまま引用させてもらいます。

栄養士さんと健康食品研究室スタッフとのやり取り


栄養士さん

 

福祉施設で栄養士をしています。

ここ最近、「減塩は嘘!天然塩を食べていれば血圧は上がらない!悪いのは精製塩」などと謳っているサイトやSNS上の記事を良く見ます。
内容を読んでいると「????」と感じる事も多く・・・・。

高血圧学会や食事摂取基準ではもちろん減塩の方向を推奨しており、私もそういう認識を持っています。
給食管理・栄養管理ともに減塩の重要性を感じておりますし、その方向性で仕事を行っています。

ただあまりにもここ最近天然塩信仰(?)のような内容をよく見る為、私が知らないだけでそういった研究結果やエビデンスがあるのか少し不安になりました。(自分なりに調べてみましたがそれらしいものは見つけられませんでしたが・・・・)

もしそういった情報があれば教えていただけませんでしょうか?

 

健康食品情報研究室スタッフさん

 

健康食品情報研究室のスタッフです。

天然塩と精製塩の違いに着目した研究として、2016年に韓国の研究グループが報告した食塩感受性Dahlラットでの実験の報告があり(Food Nutr Res. 2016 Dec 20;61(1):1264713.、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28325999)、天然塩(natural sea salt)を添加した食餌では、同量の精製塩を添加した場合と比較して血圧の上昇が抑制されたと報告されています。しかしながら、現時点で、精製塩と天然塩の影響を調べたヒトでの研究報告は見当たらず、ナトリウム摂取源として天然塩がより優れているとは結論づけられません。
「天然塩」は、食品標準成分表における並塩にあたるものと考えられ、精製塩と比較すると重量当たりに含まれるナトリウム量はわずかに少ないかもしれません。しかし、だからといって天然塩であれば血圧は上がらないとは言えません。使用している塩を天然塩に切り替えるよりは、味つけの時に加える塩を普段より少しだけ控える、という方法をとるほうが安価で容易で確実であるといえます。また、日常の食事でナトリウム摂取源となっているのは、家庭で調理に用いる塩だけではありませんので、調味料としての食塩類の使用を減らすとともに、食事全体を見直して減塩に取り組むことの重要性をご指導いただければと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。

 

引用元:健康栄養フォーラム

 

ここで、気になったのは、次の5点です。

 

1.「天然塩」と「精製塩」の定義がされていない
2.「天然塩」と「精製塩」は同じ「塩」だと考えている
3.ラットによる、血圧の「天然塩」と「精製塩」による実験で、「天然塩」が血圧の上昇が抑制された結果が出たのに、ヒトを使った研究ではないという理由で、一蹴された
4.高血圧の原因は塩だと断言している
5.塩は味付けするものだと考えている

 

それぞれの詳細は次の通りです。

天然塩と精製塩の認識のズレとは?

1.「天然塩」と「精製塩」の定義がされていない


「精製塩」が登場してから、「塩」というものがややこしくなってしまいました。
「精製塩」とは、イオン膜・立釜製法で製造された塩で、塩化ナトリウム以外のミネラル分などを除去した、純度が極めて高いものです。

「塩=Nacl」だと断言する人もいます。

この「精製塩」が登場したのは、1970年頃。その前は、日本にある塩は、塩田で天日により作られた「天然塩」でした。

しかし、工業化促進のため、数千年守られてきた海岸沿いの塩田をすべて廃止し、工業地帯を作りました。

塩専売法により、塩の製造統制が行われ、専売公社で作る塩以外は、作るのも売るのも禁止されたのです。

専売公社では、経済的で安価に作られる近代的な製法(イオン膜・立釜)を採用し、塩を製造。昔ながらで作られていた塩よりも、安い価格で塩を販売しました。

塩化ナトリウムの純度が高いため、これまでの塩よりも辛く、味も単一になりました。

「天然塩」は、ミネラル分を含んでいたので、甘みが少しあり、味も複雑でした。

昔ながらの製法で作られた「天然塩」は、市場から突如として姿を消し、「精製塩」のみが出回るようになってしまったのです。

当時、その変化を知る主婦達(大正~昭和中期に活躍した世代)は、「塩っ辛いばかりの塩になってしまった」と嘆いていました。

その歴史については、下記の通りです。

その後、塩専売法は、1997年廃止され、塩の製造と販売が自由化されました。

「天然塩」は、手間暇がかかるため、「精製塩」よりも10倍ほど高くなっています。

「天然塩」も「精製塩」は、製造方法が違うだけで「同じ塩」だ、と言う人もいますが、その微妙な違いが分かる人は、値段が少々張っても「天然塩」を選んでいます。

 

2.「天然塩」と「精製塩」は同じ「塩」だと考えている

 

上記1のように、「天然塩」と「精製塩」の定義がされていないので、どちらも栄養成分的に見た「Nacl」と「微量のミネラル」を含む「塩」で同じものとして考えられています。

物質として栄養成分の面から見たら、同じようなもので違いがないかもしれません。

しかし、生命として見ると、この二つの役割は大きく変わります。

例えば、潮干狩りで集めたアサリを二つに分け、一方には「天然塩」を含んだ水を、もう一方には「精製塩」を含んだ水を入れて、半日から1日観察してみると一目瞭然かと思います。

観察結果については、あえてここでは紹介しません。ご自身の目で確かめてみるのをおすすめします。

生命というと、現地点では、科学的な指標で計ることができません。しかし、生命を引き出す役割のあるものとそうでない役割のものとでは、「天然塩」と「精製塩」との間ではくっきりと分かれいるのではないのかと推測しています。

 

3.ラットによる、血圧の「天然塩」と「精製塩」による実験で、「天然塩」が血圧の上昇が抑制された結果が出たのに、ヒトを使った研究ではないという理由で、一蹴された

高血圧の原因は「塩」だと結論づけられるようになったのは、戦後行われた二つのアメリカ人博士による研究結果によります。

その一つが、メーネリー博士による、ラットの実験です。

具体的な実験は、

10匹のラットに、一日に通常の20倍もの塩を与え、その水も1パーセントの食塩を飲ませ、半年間続けて経過観察したというものです。

その結果、4匹のラットが高血圧になりました。しかし、残りの6匹は正常なままでした。

この実験結果から、メーネリー博士は、「塩の取り過ぎは高血圧になる」と結論づけました。
ラットによる実験だけで、塩と血圧との関係を人へも結びつけたのです。

ですから、韓国でラットを使って行われた血圧と「天然塩」と「精製塩」に関する実験も人への有効だと考えられてもおかしくないはずです。

更に、メーネリー博士の実験で、注目すべきは、通常摂取量の20倍もの塩分を半年以上とり続けても、正常だった6匹です。

しかし、その点については何の言及もないままです。

 

4.高血圧の原因は塩だと断言している

 

前の3でも述べたように、塩の取り過ぎが高血圧の原因になると言われるようになったのは、戦後アメリカで行われた二つの実験と調査によるものです。

3で紹介した「メーネリーによる実験」がその一つで、もう一つが、「1960年にタール博士による調査」です。

タール博士の調査とは次の通りです。

塩の摂取量と高血圧の因果関係を日本のいくつかの地方で調べ、一日に30グラムの塩を摂取していた秋田県では、40パーセントもの人たちが高血圧を発症していたと報告し、塩をほとんど摂取していないエスキモー人は血圧が低いと言うことから、塩は血圧を上げると結論づけました。

ちなみに、エスキモー人は塩を摂取しないのではなく、魚から塩を摂っており、調味料として塩を使っていなかったのでした。

この調査結果は、他にも一日30グラム以上塩を摂取しているのに、血圧が高くない県がいくつもあり、「いい加減だ」と批判され、別な研究者が再調査しました。

その結果、「塩と血圧は無関係だ」と結論づけられました。

タール博士もその事実を認め「塩と血圧は無関係」だと言い直しました。

しかし、日本の厚生労働省や研究者たちは、「塩の取り過ぎは血圧を高くする」といまだに主張しています。

塩が、これらの調査研究が出る前にどのように世界で扱われていたのかを見直してみると、戦後、突如として「塩は殺人鬼」扱いされてしまったのは違和感があります。

塩が戦前世界でどのように考えられていたのかは次のページでご紹介しています。

 

5.塩は味付けするものだと考えている

 

塩は、料理の「味付け」と認識している点が、現代栄養学的な考え方です。伝統食では、塩は、素材のうまみを引き出す役目をするものだと考えています。

元々日本では、新鮮な食材が豊富にありました。その土地で採れた食材を、一番おいしいときに一番おいしく食べるのが伝統食的な食べ方です。

そのためには、塩が重要な役割をしました。

素材に味付けして料理として食していたのは、京都や江戸など、宮廷料理のような手間暇かけた料理が重宝された場所だけでした。

まとめ

「天然塩」と「精製塩」の違いは、塩を、物質として捉えるか、生命として捉えるかで、変わってきます。

塩は、Naclという物質だと考えれば、「天然塩」も「精製塩」も大差ないでしょう。
しかし、塩を生命だと考えれば、「天然塩」と「精製塩」の違いははっきりとします。

どちらを選ぶのかは、それぞれの判断に委ねられます。

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