福神漬けについては、日本の食生活全集では、富山、愛知、大阪、京都に掲載されていました。
しかし、詳細なレシピは無く、兵庫では、神戸に住む華僑が日常的に食べるお粥のトッピングとして紹介されていました。
そのため、福神漬けは、中国から伝わったのか、それとも日本で発祥したものなのか、しばらく分かりませんでした。
しかし、漬物同好会による「諸国 漬物の本」の中に、福神漬け発祥の秘話がありました。
福神漬けの発祥の謎と伝統のレシピについてご紹介します。
福神漬けは、醤油が使われているため、古くから伝わる伝統料理ではないようです。
今のような醤油が庶民に広く利用されるようになったのは、江戸時代くらいからです。
その前は、味噌から出る液体をたまり醤油として使っていました。
福神漬け誕生秘話
福神漬けは、明治10年頃に、東京上野で発祥しました。
発明したのは、江戸時代から続く海産物屋の15代当主、野田清右衛門です。
当時は、漬物といえば、塩漬けかぬか漬けが主流。醤油がまだ珍しい時に、野菜の醤油漬けを発明し、それが後の「福神漬け」になりました。
この海産物屋は、15代野田清右衛門のときに「酒悦」と店名を変えました。
「酒悦」は、現在も東京上野に在ります。
「酒悦」では、今の当時と同じレシピで、「福神漬け」を販売しています。
カレーライスと福神漬けの組み合わせと偶然の出会い
福神漬けは、カレーライスの副菜として欠かせません。
福神漬けとカレーライスの組み合わせは、カレーがメニューとして売り出されたタイミングと深い関わりがあります。
カレーライスが日本ではじめて作られたのが明治5年。メニューとして登場したのが明治10年。初めて出したレストランは、諸説あり、帝国ホテル、資生堂パーラー、東京風月堂などがあがっています。
明治10年は、元祖「福神漬け」である野菜の醤油漬けが売り出された時でもあります。
カレーライスと福神漬けというこれまでにないセンセーショナルな食べ物の組み合わせで、両方が同時にヒットしました。
「酒悦」の福神漬けのレシピ
「諸国 漬物の本」には、誕生した当時と変わらない味と品質を保つ「酒悦」のレシピがざっくりですが掲載されていました。
材料
七種類の野菜
割り大根
なす
かぶ
なた豆
シソ
ウリ
レンコン
作り方
まず、材料を塩漬けして下漬けします。
野菜から水が出てきてつけあがったら、水を絞り、更に醤油で中漬けします。
更に、水気を絞り、醤油、みりん、その他で調理した本漬け液に漬け込みます。
「酒悦」の福神漬けは、本漬け液がミソですが、醤油とみりん以外のその他の食材と割合が不明です。
しかし、材料がほぼ出そろったので、味を調整しながら何度か作っていくと、本場の味に近づけていけるかもしれませんね。
まとめ
福神漬けは、明治10年に東京上野の「酒悦」で誕生しました。
7種類の野菜を3回漬け込むことで、美味しい福神漬けができあがります。