「栗おこわ」は、北陸から西日本で多く作られていました。
日本の食生活全集では、富山、岐阜、愛知、京都、和歌山、島根、福岡、佐賀、大分にあります。
郷土料理として伝わる「栗おこわ」のレシピをご紹介します。
郷土料理として伝わる「栗おこわ」のレシピ
富山県では、氷見地方、岐阜県では、恵那平坦、愛知県では、奥三河、和歌山県では、熊野山間、島根県では出雲平野、福岡県では、筑紫平野、佐賀県では背振山地で、「栗おこわ」についての言及がありました。
レシピが掲載されていた、和歌山県の熊野山間と、島根県の出雲平野、佐賀県背振山地に伝わる「栗おこわ」のレシピをご紹介します。
和歌山県熊野山間に伝わる「栗おこわ」のレシピ
旧暦9月9日の栗節句には、稲葉根王子社の祭りが行われます。
神社に栗おこわをお供え物として奉納しています。
神社では、栗おこわを、お客へのごちそうとしてもてないしていました。
材料
栗
もち米
塩
作り方
栗の渋皮をむいて、もち米と一緒にせいろで蒸します。
家によっては渋皮ごし(渋皮のまま)蒸していましたが、蒸し上がると渋みも消えており、秋の風味が残っているようです。
雑学
王子社とは、宇多上皇のとき(延喜7年907年)に祭られた神社です。
宇多上皇は、熊野三山(本宮、速玉、那智大社)への御幸が始まりました。
その道筋に王子(御子神=童子)がまつられ、そこに立てられた三山本社の末社です。
王子の数は100社近くあり、なかでも藤白、切目、稲葉根、滝尻、発心門が格式が高く、五体王子として重んじられました。
島根県出雲平野に伝わる「栗おこわ」のレシピ
島根県に伝わる栗おこわは、シンプルでわかりやすいレシピです。
材料
栗
小豆
もち米
塩
作り方
あらかじめ小豆を固めに煮て煮汁を分けておきます。
小豆の汁に、洗って水を切ったもち米を一晩浸して色をつけます。
栗を固めに茹でます。
もち米を引き上げ、水を切って小豆とをせいろで蒸します。
冷めてから、色を良くするために二度蒸します。
福岡県筑紫平野に伝わる「栗おこわ」のレシピ
筑紫平野で作られる「栗おこわ」は、赤飯に栗を混ぜたものです。
材料
もち米 一升
小豆 一合
栗
作り方
もち米は、前日に水に浸けてほとびらかしておき、せいろに入れます。
小豆は煮て、小豆だけをとって、もち米と一緒にせいろ煮入れて蒸します。
だいたい蒸し上がった頃、小豆の煮汁に少し塩を入れて、二度ほどせいろのもち米にかけます。
小豆おこわに栗をむいて入れたものが栗おこわです。
佐賀県背振山地に伝わる「栗おこわ」のレシピ
材料
米 一升
栗 20個
作り方
鬼皮と渋皮をとります。
小豆と栗を別々に固めに炊いて、米にまぜます。
小豆の煮汁と塩少々入れて水加減をして炊きます。
「栗おこわ」のレシピ
各地方の「栗おこわ」のレシピを参考に作ってみます。
材料
もち米 2合
小豆 0.5合
栗 10個
塩 ひとつまみ
作り方
栗は、鬼皮と渋皮をむいて軽く茹でて起きます。
もち米は、一晩水に浸し、洗って水を切ります。
小豆を茹でます。(水は、小豆の3倍くらい。圧力鍋で圧がかかってから15分)
小豆が茹で上がったら、鍋にもち米と、茹で上がった小豆を、汁ごと入れます。
塩少々と水を少なめに入れて、
炊き上げます。
炊きあがったら、栗を散りばめて、蓋をしてしばらく置きます。
15分くらい置いて、ざっくりと混ぜ合わせます。
食べるときは、ごま塩をかけます。
まとめ
「栗おこわ」は、もち米で、「栗飯」は、うるち米で炊いた栗ごはんです。
二つの違いは、「栗飯」は、日常食として食べられていたのに対し、「栗おこわ」は、お祭りや冠婚葬祭などの儀式のあるときに作って食べられていたようです。
「栗おこわ」の方が、もっちりして、贅沢なごはんでした。
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