「なすの押し漬」は、茨城県、埼玉県、千葉県、東京、静岡などの関東または、その近辺地域で紹介されていていました。
各地に伝わる、「なすの押し漬」のレシピをご紹介します。
郷土料理として伝わる「なすの押し漬」のレシピ
なすの押し漬は、夏、なすの旬の時期に収穫されたものを仕込んで、秋に食べていたようです。
茨城県県央畑作地帯に伝わる「なすの押し漬」のレシピ
茨城県県央畑作地帯は、関東ローム層にあります。具体的な地域は、茨城、美野里、石下町など。納豆作りが盛んです。
材料
きゅうり
なす
塩
作り方
きゅうりとなすは、別々に下漬します。
きゅうりは洗って水気を切り、一斗樽に入れます。
濃い塩水を煮立てて熱いうちに、きゅうりの樽に注ぎます。熱々の塩水を入れるのは、きゅうりの歯切れをよくするためにです。
重石はなるべく重いものにします。
なすも一斗樽に入れます。
注ぐ塩水は冷めたものを使います。
なすにも重石は重いものにします。
一ヶ月くらい後、きゅうりとなすをそれぞれ樽から取り出し、よく水洗いして塩気をとり、細かく刻みます。
刻んだ後、薄塩をして軽い重石をしておけば、しばらく保存できます。
食べるときにしその実の塩漬けをふりかけることもあります、
秋口の漬物としておいしくいただきます。
埼玉県北足立台地に伝わる「なすの押し漬」のレシピ
材料
きゅうり
なす
塩
作り方
きゅうり、なすがたくさんできる頃、収穫して押し漬けにします。
きゅうりは塩をして重石をします。
なすは、濃い塩水をつくり、一度煮立てて、冷まししたものに入れて漬けておきます。
どちらもぱりっとして、ぬか漬けとはまた違った歯ごたえを楽しめます。
千葉県東京湾口に伝わる「なすの押し漬」のレシピ
材料
なす
海砂
作り方
夏になってなすがたくさんとれると、押し漬けにします。
まず海へ行って、波打ちぎわから海砂をとって来ます。海砂は塩気が多いので塩の節約になるからです。
桶にまず、海砂を入れ、その上に塩をまぶしたなすを並べます。
並べたなすの上に海砂をかけ、またなすを並べます。
これを繰り返し、最後に上に海砂をかけ、中ぶたをして重石を乗せます。
即席漬けなので、なすは10個くらいずつ漬けます。
塩はまぶすていど。朝漬けたなすは、次の日の夕方には食べられます、
千葉県利根川流域に伝わる「なすの押し漬」のレシピ
材料
なす
きゅうり
瓜
作り方
出盛りの夏野菜のなすやきゅうり、漬け瓜などは一斗樽に漬けます。
塩をまぶし、重石をしておくと、1、2日で新漬けが食べられます。
次々と新しく漬けると古漬けが下にたくさんたまります。これを塩出しして、小さく切り、薄塩をして醤油を入れ、しその実の塩漬けなどを混ぜ、瓶に漬け込んでおきます。
この押し漬けは初秋の頃食べます、
東京都武蔵野台地に伝わる「なすの押し漬」のレシピ
材料
なす
きゅうり
白瓜
黄瓜
など
塩
作り方
樽に塩をふり、重石をして、きゅうりやなすを下漬けにします。
白瓜や青瓜も縦半分に割って種を出し、塩をふって下漬けにします。
下漬けを10日ほどしたら水を切り、塩を軽く振り、重石をしておきます。
静岡県富士山麓に伝わる「なすの押し漬」のレシピ
なすの押し漬
材料
なす
川砂
塩
作り方
まず、川砂をとってきて洗い、にごりをなくします。
なすを一並べして、その上に川砂をふります。
なすが少し見えるていどに砂をかけ、塩をひとつかみふり入れます。
塩加減は、なすの味をみて調節します。
きゅうりの押し漬
材料
きゅうり
塩水
作り方
きゅうりは、頭と尻尾を切り落として、桶に平らに重ねて入れます。
その上から味噌汁よりも少し濃いめの塩汁を注ぎます。
収穫すると次々に重ねていき、桶の半分くらいになったら漬けかえます。
漬けたきゅうりの味をみて、塩をパラパラふりかけながら新しい桶に漬けなおし、重石をのせておきます。
これを4,5回繰り返すと、カビが出なくなります。
まとめ
なすの押し漬は、真夏に漬けて、1ヶ月ほど漬け込んだ秋頃に食べるものと、浅漬けにして1~2日後に食べるものの2種類ありました。