「麦酒」は、西日本に伝わる飲み物です。
各地に伝わる、「麦酒」の作り方をご紹介します。
西日本に伝わる「麦酒」の作り方
「麦酒」は、滋賀県、岡山県、愛媛県、大分県に伝わる作り方をご紹介します。
滋賀県甲賀郡総社神社に伝わる「麦酒」の作り方
滋賀県甲賀郡にある、総社神社では、毎年7月17日から18日にかけて「麦酒祭り」が行われています。
「麦酒祭り」では、7月17日早朝から社務所で「麦酒」の醸造が始まります。夜通し作業し、18日の午前11時には、桶に入れて奉納します。
昭和初期までは、新しく採れた大麦のみを原料としていましたが、のちに、米こうじも使用するようになりました。
昭和8年当時の材料と作り方です。
材料
裸麦 五升
米こうじ 五升
白湯 一斗
作り方
まず、裸麦を蒸します。
白湯を沸騰させて、微温湯にまで冷まします。
蒸した裸麦と米こうじを木桶に入れて混合します。
それから徹夜で撹拌を続け、仕込み液の温度を5,60度に保ちます。
撹拌を続けていくうちに、米こうじの酵素が働いて澱粉が糖化され、一部がアルコールへの変化します。
18日朝には完成し、午前11時から始まる祭典には、桶にしめ縄を張って神前に奉納し、麦収穫の感謝と米穀の豊穣、夏負け予防を祈願します。
岡山県吉備高原地方に伝わる「麦酒」の作り方
材料
麦飯
米こうじ
水
作り方
麦飯と同じ量か少し少なめの米こうじと水を加え、そのまま置いておきます。
虫やゴミなどが入らないように、容器に布巾や竹簀などで覆っておきます。
その日の気温にもよりますが、翌日の昼過ぎには甘酸っぱい飲み物になっています、
岡山県南部平野・丘陵地帯に伝わる「麦酒」の作り方
材料
裸麦のこうじ
麦飯
水
作り方
こうじを麦飯とともに瓶に入れます。麦飯は、真夏、食べ残ったものを仕込みます。
夏場は、一日でできあがります。
発酵のていどによって少し酸っぱいのと、ひどく酸っぱいのがある。
愛媛県宇和島に伝わる「麦酒」の作り方
材料
大麦
米のおかゆ
作り方
味噌を作る際に、麦に白い花が咲いてこうじができます。
麦のこうじを米のおかゆと混ぜて、人肌に冷ますと甘酒に煮た麦酒ができます。
大分県国東半島に伝わる「麦酒」の作り方
材料
麦飯
麦麹
水
作り方
麦飯に麦麹を入れて発酵させます。
大分県豊後水道街道に伝わる「麦酒」の作り方
材料
麦飯
裸麦のこうじ
水
作り方
麦飯に裸麦のこうじを入れて混ぜ、保温して一晩寝かすと麦酒ができます。
夏、麦飯が余ったときに腐らせないように作っていました。
まとめ
麦酒というと、ビールを連想しますが、材料と作り方を見ると、甘酒に非常に近く、発酵時間も半日くらいなので、アルコール度数はほとんど無く、甘みのある飲み物だと推測しました。